オンナにとってクルマとは

オンナにとってクルマとは

Vol.32

P シュランの三ツ星は…!?

とあるウェブサイトのお仕事で、バックで駐車場に入れるときのポイントを、運転が苦手な女性に分かりやすく簡潔に教える、というコンテンツに掲載する言葉を考えた。3コマの画像にそれぞれコメントをつけるもので、これがかなり難しい。入れたい駐車スペースに対して、バックをはじめる前段階から説明したいポイントがたくさんあるし、ハンドルの持ち方や、それ以前にドライビングポジション、いやさらに以前に車庫入れがしやすいクルマの選び方だって、ポイントはある。

なんてことを考え始めたら、どうやっても二言三言の短いコメントにはまとまらず、あらためてバックでの車庫入れというのは、言葉ではなく実践で教わるのがいちばんだと痛感した。だからこそ、苦手な女性が多いのかもしれない。お料理のように、材料を切って、炒めて、味付けして、と動作を区切ることができれば、もっとわかりやすいのだろうけれど。

ただ、車庫入れが上手くいくかどうかを左右するのは、運転テクニックよりも何よりも、その駐車場の特徴の方が断然大きいことも痛感する。女性同士で話していると、「あのお店は駐車場が入れにくいから行きたくない」なんて会話はしょっちゅうだし、私自身も、隣りに大きなミニバンなどがないか、邪魔な柱などがないかと、必ず停めやすそうなスペースを選んでいることに気づく。

では、停めやすい駐車場のポイントはなんだろう。思い立っていくつか挙げてみると、まず明るくて全体の見通しがいいこと。通路と駐車スペースが垂直で、通路は2車線くらいの広い幅があると安心。柱は駐車スペースの通路側ではなく、タイヤ止め側にある方がバックしやすいし、「ガリッ」とぶつける確率も低そうだ。そして、大きな通路から枝分かれした通路に駐車スペースが並んでいると、バック中に待たせるクルマが最小限で済むし、さらに満車・空車の表示があればスペース探しもスムーズだ。主観では羽田空港の立体駐車場がこの理想に近いと思うけれど、どうだろう。

近頃は、ナビやガイドブックで駐車場の台数、料金、満空情報などが分かるようになって便利だけれど、停めやすいかどうかまでは行ってみないとわからない。ミシュランガイドじゃないけど、優秀な駐車場に☆をあげる“ Pシュラン” なんてのがあったら、三ツ星はどこが取るのか興味津々だ。

文・まるも亜希子


Akiko Marumo:自動車雑誌編集者を経て、現在はカーライフジャーナリストとして、雑誌やトークショーなどで活躍する。2013 年3 月には、女性の力を結集し、自動車業界に新しい風を吹き込むべく、自ら発起人となり、「PINK WHEEL PROJECT」を立ち上げた。

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