モタスポ見聞録 Vol.37 未だ開幕できないF1

文・世良耕太

コロナウイルス感染拡大の影響で、世界各地の4輪モータースポーツは予定変更を余儀なくされている。F1は3月13~15日にオーストラリアで開幕戦を迎える予定だった。

 しかし、マクラーレンのスタッフ1名がコロナウイルスの検査で陽性と判明し、状況は一変。同チームは12日の深夜に撤退を発表した。開催決行を望むチームもいたが、走行セッション開始2時間前に「中止」が決まった。

 そこからの動きは早かった。同日中に第2戦バーレーン(3/22決勝)と第3戦ベトナム(4/5決勝)の延期が発表され(それ以前に4/19決勝の第4戦中国は延期が発表済み)、19日には第5戦オランダ(5/3決勝)、第6戦スペイン(5/10決勝)、第7戦モナコ(5/24決勝)の延期が発表された(翌日、モナコの中止が発表される)。さらに24日、第7戦アゼルバイジャンGP(6/7決勝)の延期も発表。その後の日程についても不透明な状況だ。

 WRCは第3戦メキシコの開催を決行したが、関係者が安全に帰国できるか不安な状況になったため、3月15日に予定していたデイ4を中止し、デイ3までの結果を有効とした。この結果、S・オジエがトヨタ移籍後の初優勝を飾ることになった。この時点で第4戦アルゼンチン(4/23-26)の延期は決まっていたが、24日に第5戦ポルトガル(5/21-24)と第6戦イタリア(6/4-7)の延期が発表された。

 WECは第6戦セブリング1000マイル(3/20決勝)の中止と第7戦スパ6時間(4/25決勝)の延期を発表。6月13~14日に予定されていた最終戦ル・マン24時間は延期され、9月19~20日に開催される予定だ。

 2019-20年のシーズン6が進行中のフォーミュラEは、3月から5月にかけての5戦について延期または中止を発表。再開は第11戦ベルリン(6/21)が見込まれている。インディカー・シリーズは当初、3月~4月に予定されていた4戦を中止し、5月24日に決勝を行うインディ500で開幕を迎えるプランを立てたが、再度予定を変更。5月30日、31日にダブルヘッダーで行うデトロイト戦で開幕し、インディ500の決勝は8月23日に実施する予定だ。

 日本のスーパーGTは、開幕戦岡山(4/12決勝)の延期に続き、第2戦富士(5/4決勝)と第3戦鈴鹿(5/31決勝)の延期を発表した。スーパーフォーミュラは開幕戦鈴鹿(4/5決勝)と第2戦富士(4/19決勝)の延期を発表している。スーパー耐久シリーズは3月21~22日に予定されていた開幕戦鈴鹿を延期して11月21~22日に代替開催し、第2戦SUGO(4/25-26)を10月3-4日に延期する予定だ。どのカテゴリーも再変更される可能性がある。


❶F1開幕戦の中止発表直後のパドックで、報道陣の質問に答えるレッドブル・チーム代表のクリスチャン・ホーナー氏。この決定に「とても難しい判断だったと思う」と理解を示した。©︎Getty Images / Red Bull Content Pool
❷65年連続で開催されてきた、伝統あるモナコGPも中止に。
❸コロナウィルスの影響で会期が短縮されたWRC第3戦。トヨタ移籍後初優勝を飾ったS・オジエ(右)だったが「なんとも言えない奇妙な勝利で、心から喜ぶ気持ちになれない」と複雑な面持ち。
❹ル・マン24時間耐久レースは9月に延期となった。

Kota Sera

ライター&エディター。レースだけでなく、テクノロジー、マーケティング、旅の視点でF1を観察。技術と開発に携わるエンジニアに着目し、モータースポーツとクルマも俯瞰する。

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