FEATURE2 石の上にもスーパーGT

 日本国内で最も人気のあるレースがスーパーGTだ、ということをご存知だろうか。

 例えば’13年の全9戦あたりの平均観客動員数は5万6,800人。’14年第2戦の富士スピードウェイでは2日間合計で8万9,400人に達し、2013年のF1日本GP、8万6,000人を抜いたのだからすごい。日本では人気がないと言われているモータースポーツだが、なかなかどうして、スーパーGTに関してはそんなことはないのである。

 私もここ数年ですっかりスーパーGTのファンになった一人。しかし、スーパーGTが面白い、と分かるまでにはそれなりに長い時間が必要だった。最初は、溢れかえる観客と耳をつんざくようなエンジン音に驚きながらも、「いったい何が面白いの?」と冷ややかだった。

 きっかけは編集長を通して平手晃平選手と知り合いになったこと。レースくらいは見てないと悪いかしら、くらいの気持ちで毎戦ビデオに録画するようになった。それでも最初はただ流すだけ。食事の支度をしながらチラチラ見る。ソファに座って他のことをしながらチラホラ見る。と、大変不真面目だったのだが、それでも気になるシーンはあるもので、そういうシーンだけ巻き戻して見ることも増えていった。すると今度は分からないことや疑問点も次々と出てきて、それを編集長に解説してもらうようになり、次第にレースそのものが面白くなるところまでたどり着いた。

 このレースの最大の特徴はGT500とGT300の異なるレギュレーションの車両が混走すること。500のドライバーはいかに300の車両をうまく交わすか。また1レースあたりの走行距離が長いため、いかにタイヤを持たせるか。要はドライバーはただ速いだけではダメで、そこがまたレースを面白くしている。サーキットのあちこちでテール・トゥ・ノーズのような接戦が見られるので、観客は退屈する暇もない。 編集長曰く「野球のようにピッチャーとバッターのじっくりした駆け引きがありながら、サッカーのようなスピード感もある」という。300と500が絡むことにより、どこのコーナーで仕掛ければより効果的か、何周目までタイヤを保てば後半勝負に出られるかなどの頭脳戦を300キロ近いスピードの中で繰り広げている。

 スーパーGTを通じて、日本にこんなにも優秀なドライバーがひしめいていることを初めて知った。今シーズン、元F1ドライバーのコバライネンが出場することが話題を集めているが、海外の一流ドライバーにとってもスーパーGTは魅力的なレースなのである。

 つくづく思うが、何事も「面白く」なるためにはある程度の我慢が必要なのだ。できればまずは1年間シーズンを通して見て欲しい。必ずハマる。騙されたと思って、今年はぜひスーパーGTに注目して欲しい。

文・若林 葉子

DENSO KOBELCO SARD から参戦する元F1ドライバーのヘイキ・コバライネン(写真左)。相棒は2013 年GT500 チャンピオンの平手晃平選手(写真右)。
2015 SUPER GT SERIES
5/2,3           Round2 FUJI
6/20,21       Round3 THAILAND
8/8,9           Round4 FUJI
8/29,30       Round5 SUZUKA
9/19,20       Round6 SUGO
10/31,11/1  Round7 AUTOPOLIS
11/14,15     Round8 MOTEGI

テレビ放映
●J SPORTSでは全8戦を生中継で放送予定。
http://www.jsports.co.jp/motor/gt/
●『GTプラス』TV TOKYO 毎週日曜 夜23:30~


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