femme FEATURE1 首都高・中央環状線が来春いよいよ完成

10月に行われた「トンネルLED照明の点灯式」の様子。多くの報道陣が駆けつけたことからも、世の中の関心の高さが窺える。
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 2015年3月、いよいよ首都高の中央環状線(C2)が全線完成する。これは「首都圏3環状道路(中央環状線、外環道、圏央道)」のうち初となる全線開通で、首都圏の交通事情を刷新するニュースでもある。

 このたび開通するのは、3号渋谷線・大橋ジャンクションから、湾岸線・大井ジャンクション間の約9.4㎞だ。これによって山手トンネルの総延長は約18.2㎞となり、日本最長の自動車専用トンネルとなることや、開通時からすべてのトンネル内照明がLEDとなっていることなど、注目すべき点は多い。これらに加え、私たち利用者にとって「渋滞緩和への期待」も大きい。

 以前より「都心環状線(C1)の通行車両の多くは、首都高を経由して別の高速道路に乗り継ぐ通過車両」と言われ、慢性的な渋滞の要因とされてきた。今回の中央環状線の全線開通により、例えば中央道から羽田空港へ行く際に混雑した都心部を経由しないルート選択が可能となり、都心部に集中していた交通が分散され、移動がスムーズになるはずだ。そうした渋滞緩和は排出ガスの減少につながるため、環境改善効果も期待できる。また、東京港発着のコンテナトラックが環七や環八を使わずとも中央道や東名高速へアクセスできることは、大きな経済効果をもたらしそうだ。

 バイクユーザーにとっては、タンデム通行が禁止されているC1を通らずに各高速道路間を接続できるメリットも見逃せない。

 構造面で注目したいのは(といっても直接見ることはできないが)、大橋~大井ジャンクション間のトンネルは、車道が左右逆の「右側通行」になっている点だ。これは互いの通行が見えないトンネルだからこそできた、いわばコロンブスの卵的発想によるもので、出入口や非常口は道路中央に設置されているが、ドライバーにとっては①出入口の分合流が左側になる、②緊急時に追越車線(右側車線)を横切ることなく左側から避難できる、というメリットが生まれた。

 なお、この区間の出入口は五反田に設けられ、内回り(大井方向)は出口のみ、外回り(大橋方向)は入口のみとなっている。また、2号目黒線と1号羽田線とは接続しない点にも注意したい。一方、3号渋谷線・大橋ジャンクションと湾岸線・大井ジャンクションはともに両方向のいずれにも流入可能だ。

 現在はトンネル工事がすべて完了し、開通に向けて内装や路面舗装工事が順調に進められている。来春が待ち遠しい。

文・ 山下 剛

すべてのトンネル区間で省電力・長寿命なLEDを採用。維持管理コストのみならず、環境負荷の面でもメリットが大きい。

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