F1ジャーナリスト世良耕太の知られざるF1 Vol.46 カーナンバーの固定

 F1は2014年シーズンから固定カーナンバー制度を導入する。’96年以降のF1は、前年にドライバーズチャンピオンを輩出したチームが「1」と「2」を付け、以下はランキング順にカーナンバーが与えられた。ただし「13」は西洋では忌み嫌われているため欠番だった。

1  S・ベッテル(レッドブル)
3  D・リカルド(レッドブル)
6  N・ロズベルグ(メルセデス)
7  K・ライコネン(フェラーリ)
8  R・グロージャン(ロータス)
9  M・エリクソン(ケーターハム)
10 小林可夢偉(ケーターハム)
11 S・ペレス(フォース・インディア)
13 P・マルドナド(ロータス)
14 F・アロンソ(フェラーリ)
17 J・ビアンキ(マルシャ)
19 F・マッサ(ウィリアムズ)
20 K・マグヌッセン(マクラーレン)
21 E・グティエレス(ザウバー)
22 J・バトン(マクラーレン)
25 J-E・ベルニュ(トロロッソ)
26 D・クビアト(トロロッソ)
27 N・ヒュルケンベルグ(フォース・インディア)
44 L・ハミルトン(メルセデス)
77 V・ボッタス(ウィリアムズ)
99 A・スーティル(ザウバー)

 ベッテルは前年度チャンピオンの証として「1」を付けるが、固定ナンバーはカート時代の「5」を選んでいる。アロンソやハミルトンもカート時代に付けていた思い入れの深い数字を選択。ロズベルグが選んだ「6」は、父ケケが’82年にウィリアムズでチャンピオンを獲得した際に付けていた数字だ。

 ケーターハムでのF1復帰が決まった小林可夢偉選手は、「(トヨタから)F1にデビューしたときに10番だった。’14年は自分のなかでリスタート。だから、デビュー時と同じ数字を選んだ」と理由を語る。

 マルドナドがあえて忌み数字を選んだ一方、ヒュルケンベルグは別の意味でイメージが固定化している数字を選んだ。’95年以前はチームが好みの数字を選んで使用していた。新興だったウィリアムズから譲り受ける格好で、フェラーリは’81年から「27」「28」を付けることになった。このうち「27」はG・ビルヌーブの活躍と死によって「フェラーリのエースナンバー」となり、’95年のJ・アレジまで受け継がれた。

ヒュルケンベルグは「27」を選んだことについて、「誕生日(8月19日)の「8」と「19」を足しただけ。それに、単純に格好いいから」と理由を語っている。ライコネンは「去年と同じ数字。変える必要はない」と“ らしい” 理由を述べている。バトンはタイトルを獲得した’09年ブラウンGP時代の数字を選んだ。スーティルは「常に最大を求めるポリシー」を貫いて「99」を選択した。アメリカのNASCARではカーナンバーとドライバーが強いイメージで結びついているが、F1もそうなっていくだろうか。

Kota Sera

ライター&エディター。レースだけでなく、テクノロジー、マーケティング、旅の視点でF1を観察。技術と開発に携わるエンジニアに着目し、モータースポーツとクルマも俯瞰する。

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