モタスポ見聞録 vol.10 レースの未来を背負うフォーミュラ E

 フォーミュラE(FE)のシーズン4(2017/18年)が’17年12月2日に香港で開幕した。

 ’18年7月末にかけて、11都市で14戦が開催される予定だ。’17年限りで世界耐久選手権(WEC)から撤退したポルシェや、’18年限りでDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)から撤退するメルセデス・ベンツ、それにBMWが相次いでFEへの参戦を表明したが、まだ先の話だ。ポルシェとメルセデス・ベンツはシーズン6(2019/20年)から、BMWはシーズン5(2018/19年)から参戦する。

 シーズン4で変化があったのはアウディくらいで、これまではチームが主体となって参戦活動を行っていたが、シーズン4からはアウディが主導権を握り、ワークス活動として参戦する。WECからFEに軸足を移すのはポルシェも同様だが、アウディはひと足先にEVシフトを済ませたことになる。BMWはアンドレッティと組んで活動することが決まっており、車体にはBMWのバッジが貼られていた。

 それだけではない。BMWのユニフォームに身を包んだスタッフが大勢パドックを動き回っており、「もう何か始めている」ムードを周囲に振りまいていた。対照的に、ルノーと入れ替わる形でシーズン5から参戦する日産自動車は影も形も見えなかった。シーズン6から参戦するメルセデス・ベンツは既存のチームとジョイントするのではなく、新規参戦枠を利用しての参戦となる予定だが、準備は着々と進めている。ヴェンチュリーに所属するM・エンゲルとE・モルタラは、メルセデス・ベンツのDTMプログラムの一員だった経歴を持つ。参戦は2シーズン先だが、ドライバーを送り込んで(実はエンジニアも帯同している)、ノウハウを蓄えておこうというわけだ。これらの動きから、ヨーロッパのメーカーは「参戦している」事実だけで満足するつもりはないことが伝わってくる。

 第1戦、第2戦のダブルヘッダーで行われた香港戦は、小林可夢偉がアンドレッティからFEデビューを果たした。「どうしてフォーミュラE?」の質問に可夢偉は、「みなさんがここにいる理由と同じですよ。この日本人メディアの数、いまのF1より多いでしょ。それだけ期待が大きいカテゴリーなんだと思います。いろんなメーカーも出てきていますし」と答えた。ドライバーとしての経験値を高めるために参戦した可夢偉は、ぶっつけ本番だったのがたたって低調な成績(20台中第1戦15位、第2戦17位)に終わったが、「走れば走るほど良くなる実感があった」と手応えを感じた様子。「次ぎにオファーがあったら?」の質問に「乗ります」と即答した。

 ざっくり例えると香港戦が行われた市街地コースは東京のお台場と銀座を一緒にしたような繁華街にあり、休日は人でごった返す。FE目当てでなく、「何かやってる!」と大勢の人の足を止めるだけの魅力と迫力があったようだ。白煙が上がったり、スピンしたり、壁にぶつかったりすると大歓声が上がるのは、他のレースと変わりない。

文・世良耕太

Kota Sera

ライター&エディター。レースだけでなく、テクノロジー、マーケティング、旅の視点でF1を観察。技術と開発に携わるエンジニアに着目し、モータースポーツとクルマも俯瞰する。

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