ヘルメットの種類

文・伊丹孝裕

フルフェイスヘルメットが誕生して半世紀以上たった現在、乗車用ヘルメットは二輪用、四輪用だけではなく、使用目的に合わせて様々なカタチに進化、多くの派生モデルを生み出してきた。今回から3回に分けてそれぞれのヘルメットの特徴について探っていきたい。

 転倒や衝突といったアクシデントの際、まずその形状によって可能な限り衝撃をかわし、それでもなお分散しきれなかったエネルギーを帽体の構造で吸収する。それこそがアライヘルメットの製品に徹底して貫かれている思想に他ならず、他メーカーの製品と比較して特に抜きん出ているのが最初の「かわす性能」だ。

 もちろん、どんなヘルメットも衝撃緩和を絶対条件に挙げているものの、とてつもない速度や重量をまともに受ければその性能にもおのずと限界がある。そのため、アライはそこへ至る手前でダメージを軽減することをなによりも重視。同社がラインアップする帽体はいずれも丸く滑らかなフォルムを持ち、転倒して路面を滑走した場合でも障害物に引っ掛かり難く、もしもなにかに衝突してもそのインパクトを受け流しやすい形状が与えられていることがその表れである。そこにはひとつの例外もない。

 ならば、どれを選んでも万能かと言われればそんなことはない。使うシーンや走るステージ、車種に応じて必要な機能と構造には差があり、そもそも2輪と4輪では求められる性能も違う。それらを分かりやすく大別したものが下記の10種である。

 まず2輪用のヘルメットはそのスタイルによってフルフェイスとオープンフェイス、オフロードの3タイプに分けられる。フルフェイスは高速域での快適性と安全性が重視され、街乗りからツーリング、サーキットに至るまでシーンを選ばない。特にRX-7Xの「かわす性能」へのこだわりはシールド取付部の位置やデザインにまで及ぶ他、歴代のフラッグシップモデル最強の耐衝撃性を実現。軽さや快適性、フィット感もおろそかにしていない。

 対するオープンフェイスは、風雨をしのぐための開閉式シールドを装えるSZ-Ram4と、シンプルでファッション性に優れるクラシックMODを用意。前者はツーリングに、後者はアベレージスピードの低いタウンユースに最適だ。これらは基本的にオンロードを前提にしたものだが、2輪におけるもうひとつの大きな柱がオフロードに対応したモデルである。その内訳はロングツーリング時の疲労軽減が図られたツアークロス3、モトクロスやエンデューロ参戦も可能なV-クロス4、そしてトライアル競技に特化したハイパーTプロの3タイプからなり、使用目的がそれぞれ明確になっている。

 一方、4輪のヘルメットは用途がより単一的で、すべてのモデルが競技専用だ。フォーミュラやGTマシンを筆頭とするサーキットレース向けに開発されたGP-6の他、ラリー車などのクローズドカー向けのGP-5WP、オープンフェイスで参戦が可能なラリーやジムカーナに対応するGP-J3、そしてカートレース用のSK-6PEDといった4種をラインアップ。SK-6PED以外の4輪モデルが2輪のそれと決定的に異なる点は内装に難燃素材が採用され、もしもの車両火災に備えられている点にある。

 こうしたモデルのさらなる詳細は次号にてあらためてお届けしよう。


RX-7X:54,000円~(税別)
SZ-Ram4:42,000円~(税別)
Classic MOD:27,000円~(税別)
V-Cross:44,000円~(税別)
ツアークロス:44,000円~(税別)
HYPER-T Pro:34,000円~(税別)
GP-6 8859:100,000円~(税別)
GP-5WP 8859:54,500円~(税別)
GP-J3 8859:43,600円~(税別)
SK-6 PED:48,000円~(税別)

問い合わせ先:アライヘルメット
TEL:048(641)3825
URL:www.arai.co.jp


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